たんすい日記

2010.01.21

南アフリカ

今年は2010年。

サッカーワールドカップの年。

今度の開催国は南アフリカ。

最近、南アフリカのことがテレビなどで
ずいぶんクローズアップされるようになってきました。

そんな報道を見るたびに、よみがえる一つの光景があります。

 

それは、私が南アフリカを訪れたときのこと。

もうかれこれ5年ほど前になりますが、
イギリスに住んでいたとき、まだ子どももいませんでしたし、
フライトも日本よりかずいぶん近かったので、休暇で行ったのです。


それは、高速道路で主人と車を走らせている時のこと、

ブドウをもってはだしで近寄ってくる
小学校低学年くらいの黒人の子ども達。

私たちが走っているのは高速道路。
時速100キロくらいは出ています。
はじめは、その子ども達がなんでそこにいるのかわかりませんでした。

そしてよくよく見てみると、
手に手に、何かを持っているではありませんか?

”ブドウを買ってください”
と手に段ボールの切れ端に書いたものを持っているのです。

そんな方法で、いったい、誰が買うのでしょうか?

でも、その子ども達は、その日のお金を稼ぐのに、
生きるためにそれをするのです。


有色人差別のアパルトヘイトが今でも色濃く残る南アフリカ。


私が、初めて”差別”を体験し実感した場所でもあります。

ホテル内を走る乗り合いの車。
私たちが乗り込んだ後に、
50代くらいの白人の夫婦が乗り込もうとしました。

そして、私たち夫婦をちらっと見て、
ドライバーにこういったのです。
「なんで、この人と一緒なんだ?こんな車には乗れない。別の車を用意してくれ。」


私は、乗合バスとちゃ~んと書いてあるのに変なことをいう人だ、
なんか、変な格好してたかしら?なんか勘違いしてるのかしら?と不思議に思い、
その白人夫婦がなんでそんなことを言うのかわかりませんでした。

私が、”差別”というものを体験したことがなかったからです。

しかし、車を運転するホテルの白人の男性が、
一生懸命この車しかないので、
大変申し訳ないが、この人たちと一緒に乗ってくれと説明していました。


そして、主人が日本語で一言。
「ここは、有色人差別がまだあるからね」

そこで初めて気づいたのです。

「私が黄色人種だから差別されている」

ということに。

ショックは当然のことながら、
「これが差別なんだ…」と頭が真っ白になりました。

ホテルの人の説得の結果、結局その白人夫婦は乗り込みました。

しかし、明らかに不満そう。

私たちと目もあわさず、
一番離れた席に座ったのです。


私は、生まれて初めて

「差別される」

という体験をしました。

そして、それが、私が努力で変えることのできない、
黄色人種であるということによって
起こっている。

抵抗できない悔しさを味わいました。

黒人差別。

私も、それを言葉で知っていますし、
かわいそうだなぁ、と思っていました。

でも、実際に差別されて初めて、
その言葉の本当の重みを、垣間見たような気がします。


自分の肌の色や、出身地のことで、
差別を受けるのです。

それは、何の根拠もない、
ただ肌の色が違うということ。

そして、自分の努力によって決して変えることができないこと。


差別する人の考えが変わらないと
それは決して変えられないのです。

 

南アフリカでは、肌の色によって職業が決まっています。
(きっと、現在法律上はそんなきまりはないのだと思いますが、
そうなっているようです)

たとえば、掃除やゴミ収集、安いレストランのウェイトレスなどはすべて黒人。

受付、事務所で働くひと、レストランやホテルのオーナーなどは白人。

ほとんど例外はありません。

黒人の住むスラム街がある一方、
美しい景色の中に、高い壁に囲まれた夢のような白人のためのリゾート地、別荘地がある。

貧富の差が激しく、凶悪犯罪が横行し、
首都ヨハネスブルクだけで一日50人以上が殺人によって殺められる。

 

2010年。
サッカーワールドカップで注目を浴びている南アフリカ共和国。

ぜひ、これを機会に、そんな貧困の子ども達がいること。
根強く差別が残っている社会。

輝く舞台のサッカーばかりでなく、
そんな南アフリカの一面も見てほしい

そう思いながら、日々の報道を見ています。


そして、これを機会に、

南アフリカで日常のように起こる

差別がなくなり、

貧困がなくなり、

殺人がなくなり。

サッカーワールドカップが、

そんな平和の使いであるように祈っています。

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